ef - a tale of memories. は、今期最大のあたり。

ただし、受け手側にもそれなりの準備が必要、なのがヒットしない予感。

いままで、時間があまりなかったため、「こどものじかん」やら「しゅごキャラ」なんぞを頑張って先に視聴していたのですが、
やっと一段落したので、本腰をいれて、ef を視聴。

(余談ですが、私のefに対する事前情報は、ゲーム=していない、CD=聞いていない、ラジオ=ながら視聴を半年以上 となります)

見終わってすぐに行ったことといえば、目を閉じて、記憶を反芻。
続いて、再度繰り返し再生。
一時停止、巻き戻し、繰り返し。
2話を見る、1話を振り返る。

となり、感想が言葉になる前に、手が勝手に動いている状態となりました。

久々に、「アニメーションであることの表現の多彩さ」を楽しめたからだと思います。
キャラクターに合った声、台詞、(一部ではハンコ絵と呼ばれてはいても)個性的キャラクター、ここまでを揃えたアニメは多数あれど、
シーンごとに、「手間暇かけた」背景美術=演出を織り込んだ「場面」というものはなかなか出会えません。

魅力的1シーン、1カットというものは1話限りの演出でも可能です。
しかし、何話にも繋がり、効果的に「繰り返し」「差異をみせつつ」「心情を表現した」演出をアニメーションとして生かすのは、
今のTVアニメの制作状況ではなかなかお目にかかれないのではないでしょうか。

efの画面構成には、ほとんどの場面において重要な情報が表現されています。
たとえ静止画像1枚でも、その場面には必要だからこその挿入なのです。
前回と同じような場面構成をとるのは、それが「必然」だからであり、決して省力化だけではないでしょう。

キャラクターの心情を表現するのには様々な手法があります。
声、BGM、表情、動作、などなど
どれも「その場、そのシーンで」すぐ必要に応じて準備できるものです、
ただ、背景美術、アングル、配色、までを含めての総合演出ものとなると、
十分に準備をしたものでないと、効果的に効かせるのは難しいと思います。

ただ、今回の ef にはそれが確実にあり、私は幸運にもそのうちの幾分かを受け取ることができました。
願わくば、このefの表現の多彩さ、奥行きを感じとれる人が、このアニメにこそ出会って欲しいものです。

原作を壊すアニメは簡単です。手抜きすればOKです。
原作の雰囲気を再現するアニメはちょっと大変ですが、同じシーン、同じカット、同じBGM、同じ台詞、同じ声で、「だいたい」間に合わせることができます。

ただ、原作を同じような「感動」を呼び起こすアニメを作るのには、
原作の解体、要素の選択、再構成、アニメだからこその演出、すべてがそろわないとできないと思うのです。
ef、最後までこの水準で行くことができれば、きっと・・・