実写映画「マリア様がみてる」

基本的に、好評価だったので、1800円も払ってみてきました。
ひとことでいうと、納得の出来?
1800円の価値があるかは人それぞれだけど、ファンのイメージを壊さない仕上げ、という印象です。

以下、どのような点が評価に結びついていたかを、思いつくままに列記してみます。

役者の所作にある程度こだわっている印象。

正直実写である以上、似せるにも限度があるのでそのあたりをどうやってカバーするかが肝心なのですが、
顔が似ている以上に「動作を似せる、イメージどおりのものとする」ことで、違和感をなくしていると思われました。
祥子さまなら、姿勢は誰よりも正しいとか
祐巳ならオーバーアクションをするとか(特に目の大きさがすごいというべきか)。
黄薔薇姉妹が確かに出番がすくないのですが、まあ原作1巻を基準にすると仕方がないかと。
活躍順を印象であげてみますと、主役を除くと
白薔薇さま武嶋蔦子紅薔薇さま>>その他
白薔薇さまは、挙動がなによりも白薔薇そのものでした。

カメラ(映像)の割りきりが凄い。

セットではなく、既設校舎での撮影であることから、カメラの設置位置などの条件が厳しいだろうにもかかわらず
魅せるところは確実に、定番のアングルでも「光」にこだわっているのには驚きました。
気に入っているシーンは以下の3つ
祐巳の教室の描写
定点に近い撮影ですが、露出を抑え目にして、若干暗い室内と、綺麗な屋外を同時に見せていました。
また、荒い画質のフィルムっぽくすることで役者、衣装、背景の違和感を抑えているのはさすがなのか、それとも偶然なのか。
アニメより解説をすると、劇場版Zガンダムのフィルム加工っぽいといえばわかるでしょうか?
地上デジタルでハイビジョン映像に慣れていると、「アレ?」っと思うかも知れませんね。
2ダンスの撮影
基本的には定点カメラによる撮影でしたが、特定のシーンで「回り込み撮影」をし、二人だけの世界を実写で再現していました。
この演出をアニメでやろうとすれば、作画監督が間違いなく泣きます。
3学園祭後の夜
このシーンはとくに夜間照明が綺麗でした。ただ、このシーンはライトを中心に演出していましたが
それ以外のシーンでは出来るだけ自然光を中心としたカメラ、演出に徹していたからこそ、
ラストシーンでの夜の学校が綺麗に見えたのだと思います。

改変箇所の適切さ

記憶だけをたよりにみていたので、実際は違っているのかも知れませんが、
役者のせりふはほぼ原作ままだと思われました。
ただ、それ以外の場面設定、背景描写については、実際に撮影できるものに適時変更されていたと思われます。
でも、実際に作品としてみた場合、舞台設定については過度に破綻していないかぎり、気にならないのでしょうね。

全体評価としては
限られた予算、スケジュールのなかで
おそらくは詳細な絵コンテを用意しての撮影、
スタッフの並々ならぬ努力により、この映像が完成できたのだと受け止めました。
このスタッフ達なら、ほかの原作でも案外実写にしても心配ないのではないかなと、思います。

追記

どうしても気になったところ。
柏木優
所作も頑張っているのかもしれないのですが「いいところのお坊ちゃま」オーラが全くなし。
藤堂志摩子
特定のアングルからなら藤堂志摩子に見えないこともないのだけれども、最初のアップで、どうしても減点。
たしか原作では西洋人形風と描写されているのですが、どうみても純日本人顔だから仕方がないのはわかりますけどね。
せめて、頬のラインを髪で隠すなどしてほしかった。
それだけでもかなり効果的ではないかと思ったので。